弘徽殿女御の不安

帝が若宮をあまりにもかわいがるので、若宮が皇太子にたてられてしまうのではないかと、疑心暗鬼を抱いたのである。
自分の生んだ皇子が皇太子になればいつかは帝位につける。そうなれば母は皇太后となり、母君の父兄は政権を掌握し、縁につらなる一族一門は栄光に酔いしれることとなる。
一門の代表として入内し、第一皇子を生み、「うたがひなきまうけの君」と世に思われて安心していた第一皇子の母女御が、あらゆる可能性を検討して万全の手を打とうとするのは無理もないのである。